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年間休日80日はやばいの?平均との比較・デメリット・違法性をやさしく解説

年間休日80日は少ない

年間休日80日って少なくてやばい? そう感じるあなたは決して一人ではありません。

実は、年間休日が80日前後(72日~85日)という人も少なくなく、不安に思う声は多くあります。

一般的な企業の年間休日と比較すると、その差は歴然。もしかしたら、今の働き方に疑問を感じているかもしれません。

本記事では長年にわたり労働法規に関わり、15年以上働く人のキャリアを支援してきた筆者が、年間休日80日の内訳から、平均との比較、メリット・デメリットまで、やさしく解説します。

年間休日80日の実態を徹底解剖!あなたの働き方は大丈夫?

年間休日80日の実態

年間休日がたった80日と聞くと、「え、それってどれくらい休めないの?」と感じる方もいらっしゃると思います。

具体的にどんな内訳で、一年間の休みがどう配置されるのか、掘り下げてみましょう。

年間休日80日のリアルな内訳

年間で80日のお休みとなると、ひと月に換算するとおよそ6日程度、ということになり、だいたい年間で72日分にあたります。これに加えて、お正月休みやゴールデンウィークといったまとまったお休みが、年間に8日ほど上乗せされるイメージです。合計すると、ちょうど年間80日程度になる、というわけです。

勤務形態としてはシフト制(変形労働時間制)と、日曜固定+土曜隔週休みといったパターンが一般的です。

筆者が見てきた感じですと、例えば、医療・介護の現場や、医療事務、製造業などの現場作業、そして季節に左右される農業などが挙げられます。

年間休日80日の年間カレンダー例

より具体的に、年間休日80日のカレンダーってどんな感じになるの?という疑問に答えるべく、よくあるお休みの一例を見てみましょう。

◆年間休日80日の休みの一例

通常の週 日曜日が休み、土曜日は出勤となる週や、月に数回土曜日も休みになる週があります。
年末年始 3日~5日程度の休みの設定が多いです。(例:12月30日~1月3日)
GW 3日~5日程度の休みが設定されることが多いです。
夏季休暇 お盆の時期などに3日程度の休みが設定されることがあります。

こうして見ていくと、毎週土日が確実に休みというわけではなく、祝日も通常の勤務日となることが少なくないことが分かります。

結果として、年間を通してみると、ご紹介した例のように、だいたい72日から85日くらいの範囲で、年間休日が80日前後になる、というわけです。

年間休日80日は少なくてやばい?平均休日数との比較

年間休日80日は少ないか気になる女性

年間休日80日は本当に少ないのか?具体的に見ていきましょう。

年間休日80日と平均の生涯休日数を比較

厚生労働省の調査によると、労働者一人当たりの平均年間休日数は116.0日です。年間休日80日はこれと比べて年間で36日少なく、これは約31.1%もの差になります。

この差が長年積み重なると、生涯でどれほどの差になるのでしょうか?

標準的な勤務年数である40年を想定した場合、年間休日80日の人は、平均的な年間休日の人と比べて1440日(36日 × 40年)も休日が少ない計算です。

これは、単純計算で 約4年分の休日を失っていることになり、人生の自由な時間を大きく左右する可能性があります。

かならずしも「やばい」とは言えませんが、注意は必要でしょう。

年間休日が少ないと感じる人の割合は?アンケート調査

年間休日数に対する意識を調べるため、当サイトでは独自にアンケート調査を実施しました。

調査の概要は以下のとおりです。

  • 調査実施日:2025年4月15日
  • 対象者:社会人の男女50名
  • 調査方法:クラウドワークスを通じてインターネット調査を実施

それでは、アンケート結果をご覧ください。

◆調査結果:年間休日に対する意識

  • 年間休日85日以下の方で「少ないと感じる」と回答した割合: 90%
  • 年間休日86日~100日の方で「少ないと感じる」と回答した割合:72%
  • 年間休日101日~120日の方で「少ないと感じる」と回答した割合:10%

このアンケート結果から、年間休日が85日以下について、働いている方の9割が少ないと感じていることが分かります。100日以下でも約7割が少ないと感じています。

あなたがもし年間休日80日で働いていて休日が少ないと感じるのなら、それは個人的な感覚ではなく、多くの人と同じといえます。

年間休日80日のメリット・デメリット

年間休日80日のメリット・デメリット

さて、年間たった80日しかお休みがない働き方。正直、大変そう…というイメージが先に立つかもしれませんが、実は良い面もそうでない面もしっかり存在します。

ここでは、この働き方を「リアル」な目線で掘り下げて、「どんな人なら検討の価値があるか」「逆に、どんな点に覚悟が必要か」をじっくり見ていきましょう。

年間休日80日でも「これはアリかも!」なメリット

つい目を向けがちなデメリットは置いておいて、年間休日80日でも「これはアリかも」と思えるのはどんな時なのか、ポジティブな側面に光を当ててみたいと思います。

効率的に稼げる可能性

例えば、お給料が時給や日給で決まるタイプのお仕事の場合、年間休日が少ない=出勤できる日が多い、ということ。これが直接、手取り収入が増えることにつながる可能性は十分に考えられます。

短い期間でガツンと稼ぎたい!という方や、他の仕事と組み合わせて収入の柱を増やしたいWワーカーさんは、この年間休日80日の働き方も視野に入れる価値があるかもしれません。

あくまで「期間限定で!」という割り切り方をするなら、有効な選択肢になりうる、と言えるでしょう。

閑散期にまとめて休みが取れることも

会社や業界によっては、一年の中で「目が回るほど忙しい時期(繁忙期)」と「比較的落ち着く時期(閑散期)」がはっきり分かれている場合があります。

もし、年間休日80日のお仕事がこうしたタイプなら、忙しい時期はしっかり働くとして、落ち着いた時にまとめてお休みを取りやすいというメリットがあります。

分かりやすい例だと、年末年始が一番忙しい小売業などは、年が明けた1月や2月に、案外まとまった連休を取りやすい、という話も聞きます。もちろん、これはケースバイケースなので、応募や入社前にしっかり確認しておきましょう。

年間休日80日のデメリット

年間休日80日のデメリット

さて、ここからは年間休日80日の「厳しい現実」とも言えるデメリットに目を向けたいと思います。

やはり、お休みの少なさは、ご自身のプライベートにかなりの影響を及ぼす可能性が考えられます。具体的にどんな点が大変なのか、一つずつ見ていきましょう。

休息が足りず、疲れがたまる

まず避けられないのが、休息の絶対的な不足です。お休みが少ないということは、疲れをしっかり取る時間が限られるということ。これが続くと、心身ともにどんどん疲労が溜まってしまいます。

休息が不足した状態だと、仕事でのうっかりミスが増えたり、頭の回転が鈍くなったりするだけでなく、体の免疫力が落ちて風邪を引きやすくなったり、将来的に生活習慣病につながったり…といったリスクも無視できません。

趣味や家族との時間の減少

次に、プライベートの時間の問題です。年間80日のお休みだと、例えば週末に毎週予定を入れるのはまず無理。自分の好きなこと、趣味に没頭したり、家族や友達とゆっくり過ごしたりする時間を十分に確保するのが、難しくなる可能性があります。

旅行に行きたくても連休が取れない、なんてことも起こりうるでしょう。仕事以上にプライベートも大切にしたい!という方にとっては、これは大きな壁になるはずです。

急な用事への対応が難しいかも

最後に、予期せぬ事態への対応のしづらさです。自分が体調を崩してしまったり、家族に何か急なことが起きたり、はたまた役所に行かなきゃ…なんて時でも、お休みが少ないと身動きが取りづらいです。

「じゃあ有給休暇を使えば?」と思うかもしれませんが、人手がギリギリの職場だと、「今休まれると困るんだけど…」なんて顔をされたり、希望通りに取れなかったりすることも現実にはあります。

つまり、年間休日が少ないということは、「もしも」の事態に対する「柔軟性」が、どうしても低くなってしまう可能性がある、という点を頭に入れておく必要があります。

年間休日80日は違法か?

年間休日80日は、労働基準法で定められた最低限の休日数を満たしているため、原則として違法ではありません。

労働基準法では、使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日を与えるか、4週間を通じて4日以上の休日を与えることを義務付けています。

使用者は毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
(引用元:休日(第35条) | 栃木労働局

しかし、一般的な企業の平均年間休日数と比較すると少ないため、労働者にとっては「本当にこれで良いのか?」と感じる、いわばグレーゾーンと言えるでしょう。

求人をチェックする時もよく内容を確認するようにして下さい。

労働基準法が定める最低限の年間休日

労働基準法が定める最低限の年間休日数は52日です。

年間休日80日は、この最低基準を大幅に上回っているため、これだけを見ると法律上の問題はないと言えます。

年間休日80日が違法となるケース

年間休日80日であっても、以下のようなケースでは違法となることがあります。

  • 就業規則等で80日以上の休日を明記している場合
  • 長時間労働が常態化し、十分な休息が与えられない場合
  • 有給休暇の取得を妨害している場合
  • 特定の週に全く休日を与えていない場合

これらに当てはまる場合は、十分な注意が必要となるでしょう。

まとめ!年間休日80日の働き方を見直して、充実した毎日を送ろう

年間休日80日の働き方を見直す女性

年間休日80日という働き方は、平均と比較すると決して多いとは言えませんが、本記事を通して、その内訳やメリット・デメリット、そして法律との関係性など、理解を深めていただけたと思います。

年間休日が少ないと感じる方が多い現状を踏まえれば、働き方を見つめ直し、限られた休日を最大限に活用する工夫や、オンオフのメリハリをつけることが大切です。

もし、年間休日数を増やしたいという強い希望があるのであれば、転職する選択肢も視野に入ると良いでしょう。

本記事が、年間休日80日の働き方で後悔しないための一助となり、より充実した毎日を送れるようになることを心から願います。

  • この記事を書いた人
退職代行の名人

退職代行の名人 松沢義文

長年のサラリーマン経験を活かし、退職代行の専門家として、退職に関する悩みを抱える方々をサポート。会社員として15年以上にわたり、様々な職種や働き方を経験してきたからこそ理解できる、仕事や労働に関する幅広い知識に基づき、退職代行の選び方から退職後のキャリアプランまで、具体的な情報を提供。法的知識も踏まえ、安心して相談できる環境を整備。退職は人生の転機。後悔のない選択を全力で支援します。

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